イクウィメン

三好あお

● 多くの日本の男性は、あまり育児をしないということです。昨今は、積極的に育児してくれる男性を「イクメン」と呼んでますよね。そんな言葉が生まれるほど、男どもは育児に対して受け身の体勢だってことでしょう。

● いぬも男ですから、そういった男たちの気持ちも分からないでもないです。日中、金のための仕事で散々苦労して、身体動かして、神経使って、人間関係気を使っているのです。やりたくない仕事を嫌々やってる方もいるかも。せめて家では休みたい、癒されたいと思うのでしょう。

● そんなこと言ったら、育児してる女性なんて24時間365日休みなしだぞ!みたいな意見が出てくることも、わかります。

● わかります。わかります。と、いうのは…。

● 今、いぬは主夫です。育児の担当は100%と言えるでしょう。これも近年の言い方でワンオペってヤツです。いぬだけに。

● ですから、寝るときもいぬに「だっこして」と言って乗っかってきます。一人で出かけようとすると「行かないで」と大泣きしていた時期もあります。

● お母さんのことは「たまに遊んでくれる面白い人」と思ってるみたい。これって、要するに、性が逆なだけで、世のお父さんの多くが「たまに遊んでくれる面白い人」みたいに思われているのではないでしょうか。


飲み物の花

● ここまで読んでもらったら、ワンオペのことを書いたウェブログ記事にありがちな「相方が育児しない嘆き」展開になるとお思いでしょう。
そうはなりません。今日のこの文章の目的は、記録です。

● 今の、一風変わってるかもしれない家族の絶妙なるバランス。こんなに面白いのに何も書かずにいると、誰にも知られずに消えてしまうかもしれない。

● 人と話しても、口での説明は、うまく伝わらないし、文章として残したかったのです。

● もしかしたら、嫁本人、人からは「育児も仕事もこなすスーパー女子」と思われたがってるかもしれないです。だとしたら、イメージ壊してしまい、自尊心傷つくかもしれないけど、ご容赦ください!

● 「なんちゃってイクメン」という言葉も世間に出て来てますね。他人からはイクメンに見えるように振る舞うってヤツです。世の中のお父さんたちも、スーパー男子として見て欲しがってたりして。

● あと、この文章の最後の方に、一般のお父さんに向けて、ちょっとだけメッセージ書いてます。上から目線のようだけど。


機械

● さてさて、嘆きの話題に戻ります。「相方が育児しない嘆き」どころか、大変感謝しております。外で仕事してきて、くたびれてるだろうに、帰ってきたら子供とよく遊んでくれるんです。いぬとは24時間ぴったりなので、遊び方とか同じ感じになりがち。たまに遊んでくれる人との楽しそうな事といったら、もう!

● 最近は、苦手意識があったオムツ替えも積極的に自主的にやってくれます。

● 800回、毎日いぬと入っていたお風呂も、初めて入れてくれました。特にお願いしたわけでもなく、自然にやってました。

● あ、そうか、これがイクメンなんだ!積極的に育児してくれる女子だから、イクウィメンか。

● 主夫にしてみたら、オムツやお風呂くらいでも、とっても助かるものです。「ありがたいなー」と思いました。感謝することはあっても、「もっと育児やってほしい」みたいに嘆くことはありません。


お砂場セット

● ワンオペ、ワンオペみたいにヒステリックに騒ぐこともありません。そもそも、いぬ自身、幼い頃に父が死んでからの母子家庭でした。母親一人で働いて家事育児して男の子二人を育て上げてくれたのです。昭和40年代に、ワンオペと嘆きもせず、大変だったと思います。ワンオペなんて普通じゃん?みたいに育ってしまいました。

● 父親というのが、どういうモノなのかは、理解出来ませんでした。本や映画などの、物語から疑似体験するしかありませんでした。「父親なんて夢の中の存在でしょ」みたいな。「そんなに必要ないんじゃないか」とまで思ってました。自分が父になっても、どう振る舞えば良いのか、謎でもありました。

● 「精神的、文化的に指針になってくれる人」は、いてくれたら良いなと思ってました。子供の時。好きな文化に夢中になってる大人の男の人とか、近くにいてくれたら、と感じてました。

● 今、子供の視線から、精神的文化的に指針になる父になれてるだろうか。経済的なものを与えるのも大事だろうけど、それより精神的なものも大事だと思うような人物にに育ってしまいました。

● 経済的なもののために、外に仕事に出ることもあります。DJや音作りの作業で。そういう時は、嫁には仕事休んでもらってます。休めない時は託児施設に預かってもらいます。子供連れて行っても大丈夫な時は、仕事場にも子供と一緒に行きます。連れて行けない時に、子供と二人きりにしても、イクウィメンなので安心。

● たまにしかない、母親と二人きりの時間は、子供も楽しんで過ごしてるようです。普段、父といる時にはもらえない、美味しいチョコレートとか、山のように食べさせてもらえるし。イクウィメンありがたいです。

● 世の中のお父さんも、お母さんに、「子供と離れられる時間」を作ってあげると、良いかもです。なんか、人様に価値観を押し付けるなんておこがましいですけど。母親の気持ちも「わかります」のいぬだから言えるのです。


月琴

● 最後に、メッセージついでに、もう一つ。

● 家事についての、細かいツッコミははしない方が良いです。毎日精一杯一人でやってるのに「哺乳瓶に汚れがある」とか指摘されると、怒りのような感情が湧き出て、脳の血管切れそうになります。温厚ないぬでも。

● 幸い、ウチでは「家事なんて手を抜くぐらいがちょうどいい」なんて言ってもらってるので、本当にありがたいです。100%完璧を目指せ!みたいな、お堅いお高い相手だと、ギスギスして、最後には爆発してしまいます。

● あ、また、人様に価値観押し付けてしまった。色んな人がいて良いんです。だから、イクウィメンと主夫の夫婦でも、生きていけるんです。色んな愛のカタチがあるんです。


モンドリアンと三好あお

● 子供を寝かしつけ、大抵は一緒に寝てしまいます。時間は作るものだと、カーク船長もクワークも言ってました。ラクタジーノ飲んで、起きて、夜な夜な書いていた吹奏楽の曲が、今夜完成しました。お金目的の曲ではないです。

● 完成記念に、勢いで文章つづってしまいました。これが、子供たちの見てる、精神的文化的指針になるような親の背中であればイイナ。